
今日は桃の節句なので、ネルの草を刈るついでに菜の花を摘みました。ここの河岸は以前野良大根だらけだったのであまり刈らなかったのですが、去年今年と野良大根が減少、今年は大変よろしい状態だったのでずっと刈ってました。というわけで菜の花は少ない、でも一食分一掴みなら造作ない。
これで辛子和えを作るんですが、辛子って「からし菜」という菜っ葉の種を砕いて作るものですよね。菜っ葉の辛子和えって親子どんぶりなんだなあ。小松菜だってたまにひりひりするのがあるし、だいこんやかぶも含めて、アブラナ科はみんな辛子の「もと」を持っています。
この「もと」をシニグリンといいます。辛いと感じる物質は「アリールからし油」という揮発性の高い成分ですが、これに大きな糖分子がくっついたものがシニグリンです。

シニグリンから糖を切り離す酵素は植物中に含まれているので、加工の仕方によって辛みを出すことも、出さないこともできます。例えば大根を薄切りにしてサラダにすると辛くないのに、同じ大根を大根おろしにすると辛かったり、煮物にするとこっくり甘かったりする。おろしの場合は細胞をつぶすことで酵素が広がってアリールからし油が一気に放出されるからと考えられますし、時間をかけて煮物にすると、シニグリンのアリールからし油は蒸発し、糖だけが残るので甘くなるわけです。

さて辛子和え。粉辛子を買うと、袋に「40℃くらいのお湯少量で練って、器を伏せて5-10分おいておきます」とあります。40℃、大方の酵素がよろこんで働く温度ですなあ。少量で「練る」ことで、ごりごりと植物組織を破砕して酵素とシニグリンを水に放ちます。器を伏せるのは乾燥を防ぐためかな。酵素の反応はわりあいゆっくりなので、練ってすぐには辛くありません。5-10分かけて酵素に働いてもらうと涙が出るほど辛くなります。

できたからしにお醤油を加えて溶きのばし、茹でた菜の花を和えます。あたしは横着者なので、最終的に食卓に出す器で辛子を練ります。見栄えは悪いが洗い物は少なくて済むんだよ。


コメント
辛さの「もと」の図解付き!
おいしそう。
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