【※クリック注意※】まいまい 迷子の 舞々蛾
いばらき 花草虫 ~ 一覧 ~

【※クリック注意※】まいまい 迷子の 舞々蛾

※6/9撮影の写真です。

例によって赤詰草を刈っていたらいきなり巨大な毛虫に遭遇 何事だっ!あんたは雑木林でぶらぶらしていなさいっ!!

60㎜位あるからもう終齢かな 因みに雄は5令まで雌は6令までと幼虫の令数(※1)に違いがあるそうだ 成虫の大きさも随分違うもの それはありそうなことだな けどこの虫は林の虫だろ この河岸の近辺に雑木林はない 麦もあまり植えないから6月には田んぼ 一面の田んぼの向こうにバイパスの陸橋 東は筑波山 こんなまっ平らなクローバー畑でこの虫に会うなんて 帰って調べたら北海道の大豆畑で害虫化した例があったそうだ ならクローバー畑でも生きて行けるかしら それにしてもどこからここまでたどり着いたか

5月6月は毛虫の季節 日差しを避けて木立の下に避難すると ぼたりと山繭が落ちてくるわ ぶらーリぶらりと大きな毛虫が下がって来るわで ひとがきゃあきゃあいう 中でもこの種は特に毛が長いからみんな怖がる 背中に頭の方から青いボタンが5対 赤いボタンは6対 派手な姿だけど毒はない ドクガ科だけど心配ない ごく小さな1令幼虫*のころ多少の毒があり 大発生時に問題になるという話を知ったが この大きさの時はもう毒はない 見た目ほど物騒ではない

この毛虫は舞々蛾(マイマイガ)という蛾の幼虫 でんでんむしの親戚とかではなく 大きな開長(※2):45-90㎜の翅をひらひらさせて昼間っからくるくる回って飛んでいるというのが名前の由来 雄と雌で6割くらいも雌のほうが大きく 雄は茶褐色雌はほとんど白とまるで違う 学名をLymantria disparというが 名前の「dispar」は「ペアになってないっ!」という意味だそうだ 苗字のリマントリアってきれいな響きなんだけどな 秋にはたらこ粒ほどの卵を平たくかためて産む 塊は幼児の掌程もある 雌は塊に腹の鱗粉をありったけ擦り付けて覆う 雨雪を避けて春を待つための蓑 生まれてくるこどもたちのおくるみ 春にこれが孵化する 幼虫のあだ名はブランコケムシ 糸を引いて垂れてくるから 糸を引いてぶら下がる毛虫はほかにもいるけどね 生まれたての小さなブランコケムシは長い糸を引いて風に乗り  冬を過ごした樹を離れて 別の樹に移動する 蜘蛛の子がやるのと同じやり方だ 幼いころから孤独なムシ 英名の Gypsy moth も 移動するからかしら

森林害虫として名高い 主に樹木 果樹や広葉樹・針葉樹の大害虫 食べる植物は100種とも300種ともいわれる広食性(※3) 北アフリカ、欧州、アジアにはもともと分布 合衆国には人為的に持ち込まれて蔓延した その頃この蛾が蚕に近い種とみなされていたので 蚕の品種改良に使おうとしたのだった それが漏れて定着し あるとき大発生した 北米大陸にいなかった虫でもあり 有効な天敵や捕食者がいなかったから 山が丸坊主になった 今でも時々大発生する 原因や理由はまだわかってない 農薬や病原ウィルスの航空散布にはかばかしい効き目がない 2-3年で何となく終息する

日本でも大発生する 自治体のHPには10年周期と記しているのが多い しかしこれは眉唾で「100年間に10回あった」ということらしい 日本の大発生の経済被害はそれほどでもないようだ リンゴなどの果樹に侵入すれば害があるが 毛虫対象の薬剤防除でしのげる むしろ発生した大量の蛾が市街地を飛び回ること 住居や店舗などの壁に卵を産み付けることが嫌われる 四半世紀ほど前の秋 北海道の倶知安に仕事で滞在した 駅前の商店や住宅の壁に点々と卵塊が貼りつき 街灯の明かりに大きな蛾が乱舞していた 男の人が箒を振り回して蛾を追い 何やら大声でわめいていた わめきたくなる気持ちがわかる気がした 確かにひどくまがまがしいものに思えた

2014-2018年の間 北海道のほか 秋田 岩手 山形 福島 栃木 長野 岐阜 富山 新潟などの自治体が市民に向けて対策を公報している 現状での対策としては 産まれた卵を地道にはがして殺す 成虫への薬剤散布は効率が悪く市街地にはなじまない 卵なれば来春までに始末すればよい 成虫の乱舞が人の心を騒がせること これは今のところいかんともしがたいようだ 大発生は3年程度で終息する例が多く 終息の原因として病気の発生が指摘されている

※「令」については『長雨・眺め・菜亀・承前』の だいこんさんの質問への回答参照

※「開長」については『蓼食う虫… 』参照

※「広食性」については『蓼食う虫…』へのkominさんの2番目のコメントへの回答参照

投稿者

ゆ

茨城県

コメント

  1. やぎ子さん やぎ子さん

    「メー(ギャー)。」
    というか私たちヤギや、お馬のネルさんは、毛虫でカブレたりするんですかメ?

  2. ゆ

    そうねえ、君たちケモノはケムシ以上に毛っぽいから からだのほうは大丈夫じゃないかしら。草食だから毛虫の付いてる葉っぱを食べてしまって、口の中を刺されるかもしれないけど。馬は笹が好きだから竹の細黒羽(たけのほそくろば)のケムシなんか食べてしまいそうだなあ。

    毒があってかぶれる毛虫の代表格の毒蛾(ドクガ)は「毒刺毛(どくしもう)」という特別の毛を背中の頭よりのところに生やしています。これがのう、短いが垂直に生えておってのう、見るからに邪悪なんじゃ。ここに触れると毒刺毛は抜けて皮膚に刺さり、触ったやつがひどい目に合うわけですが、さて。ケムシにとって追い払いたい敵は誰でしょうね。鳥、猿、げっ歯類(ネズミの仲間)、爬虫類なんかかな。蛙も、食べるかな。鳥やとかげならば、毒刺毛はいきなりお口の中の柔らかいところに刺さるんではないかしら。日本にはあまり小さな猿はいないけど、熱帯には手のひらに乗るようなお猿さんがいて、虫を食べていますから、そういう子は指を刺されてしまいそう、痛そうだなあ。

    ネルさんはたまに、年に一度かそれ以下、体の一部に1円玉大~500円玉大の薄い腫れものがぽこぽこできるときがあります。腰が多い。蕁麻疹みたいな感じです。痒がる様子もないから、ジフェンヒドラミン剤(レスタミンなど)塗って様子を見ていると3~4日で消えます。これは原因不明だけど、夏秋が多いようなので、そういう腫れ、かぶれがケムシなどとの接触によるものだという可能性は捨てきれませんね。ちなみに馬のプロたちは「蜘蛛食ったんだろ」って言います。 




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